2007-03-18

20年の深み

今日は機会があり、近くのBarで、山崎の1985年と1992年のビンテージを飲むことができた。熟成の有難味を感じてもらうということで、未熟性の原酒も飲ませてくれた。原酒は飲めたものではなかった。香りは日本酒に近い。まぁモルトウィスキィなので、麦焼酎というべきか。味はひどいものだった。 だがこの原酒が12年熟成されることで、Japanese Whiskeyの最高峰に登りつめる。さらに選ばれし者は、25年、30年熟成とされる。

20年前、あなたは何をしていただろうか。20年前に生まれた子供は、かわいい盛りを過ぎ、父親の靴下と自分の服が洗われるのに抵抗し、得体の知れん男を彼氏と呼びそして失恋。甘酸っぱい恋の後味が苦いことを知る。挙句にルーズソックスとミニスカという理解しがたい格好で街を闊歩し、成人式で初めて着物に袖を通す。その後残酷にも私の元を離れていくのだ。

今日飲んだ原酒は、その20年間を、ただ静かに樽の中で過ごすのだ。あの65度の飲めたもんじゃなかった原酒が深い琥珀色になり、やわらかい口当たりと、Woodの後味という余韻を残す。今日私に感動を与えたウィスキィも、20年前は65度の麦焼酎だったのだ。そしてこれらに魅入られたダメ人間どもはこの余韻が忘れられず、また20年の刻に手を出してしまうのだ。






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